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4.日本の食卓文化を再構築する鍵は「家族の喜ぶ顔の実現」にある

内食回帰に関わる、もう1つの事実があります。
1990年代から21世紀初頭にかけて、外食化が進む中で、家庭の食卓満足度(夕食の人気があったと答えた割合)が下がっていました。家の食事に満足できない家庭が増えていたのです。
ところが2003年を境に内食回帰が起きると、夕食の満足度が上がり始めました。
『外食化と家庭内食の満足度は反比例する』
『内食化と家庭内食の満足度は正比例する』

私は、夕食の食卓満足度に、何が関係しているかを調べてみました。

@テーブルにのぼるメニューの数
A調理に手間をかけたと答えた割合
B栄養バランスを考えて食事をつくったと答えた割合
C収入の多さ

@ABは食卓満足度と無関係でした。
Cの収入の多さは、「収入の多い家庭の食卓満足度が、収入の少ない家庭の食卓満足度より低い」という予想外の結果がでました。400万円未満の家庭の食卓満足度が2007年以降急上昇している結果もでました。2007年以降は勤労者の実質収入が少し上昇した時期です。
所得の低い若い世代の食卓満足度が高いという結果も出ました。
『モノの豊かさで食卓の満足は得られない』

『料理に手間をかけたり、栄養バランスを考える食卓と、満足度は関係ない』という、これまた予想外の結果もでました。
『では…、何が関係している?』

ある事実が分かりました。
『家族の喜ぶ顔が食卓満足度に関係している』
食MAPでは、夕食の状況を毎日記録してもらっています。その記録のうち「夕食を家族一緒に食べた」と答えた割合が、2003年26.2%から2007年33.4%と7ポイント増えていました。
食卓の満足度と軌を1つにするように家族団欒の食卓が増えていたのです。
『家族の触れ合いが、食卓満足に深く関係している』

先の見えない暮らしの中で、人々は日常生活に関心を持ちはじめているようです。『毎日を健康で暮らせることが幸せ』と考える人々が増えているようです。
飽食というモノの豊かさとは違った、新しい日本の食卓をつくりだす時代がきています。

『モノの豊を求める食卓ではなく、モノとの係わり合いの豊さを求める日本の食卓』




一般社団法人Nippon Diner理事長 齋藤隆