<<前の商品 次の商品>>  

日本人の旅の心を形にし続ける 峠の釜めし

商品の素顔

  商品名峠の釜飯
  カテゴリー弁当(駅弁)
  製造者株式会社荻野屋(群馬県安中市)
  原材料(峠の釜めし)
ご飯(国産米、しょうゆ、酒、みりん、昆布)、鶏肉、筍水煮、ごぼう、栗甘露煮、杏甘煮、うずらの卵、しょうが酢漬、グリンピース、砂糖、しょうゆ、乾燥椎茸、食塩、酒、みりん、植物油、七味とうがらし、鰹節、昆布、調味料(アミノ酸等)など
(香の物)
小ナス、山ごぼう(学名モリアザミ)、きゅうり、小梅、酒かす、わさび、しょうが、しその実、ごま、漬け原材料(しょうゆ、アミノ酸液、ぶどう糖果糖液糖、醸造酢、食塩、発酵調味料、鰹節エキス、酵母エキス、香辛料)、酒精、調味料(アミノ酸等)など
  栄養成分一食あたり(峠の釜めし・香の物合算) エネルギー818kcal、たんぱく質21.6g、脂質9.7g、炭水化物158g、ナトリウム2087mg(食塩相当量5.3g)
  価格1,000円

1 旅の風景〜横川・峠の釜めし
 日本人は昔から旅のしきたりや習慣があります。そのひとつが、峠の茶店で一休みをする習慣です。何せ、これから峠越えです。その前に一休みをして、腹ごしらえをして…。
 横川駅の峠の釜めしには、忘れられないそんな思い出があります。平成2年ごろ、まだ信越本線の横川〜軽井沢間がつながっていた頃、横川駅の峠の釜めしは日本中の旅人の憧れでした。(長野新幹線の開通に伴い、横川〜軽井沢間が廃線となり、現在の横川駅は信越本線の終着駅となっています)横川駅には必ず3分から4分間列車が止まりました。峠なのだから、数分間停車しておかしくありません。旅にはセレモニーが大切です。因みに横川駅は実際には峠ではありません。信州へ向かう列車を連結するための停車駅でした。しかし、当時皆は勝手に峠だと思っていました。この駅で、よーいドン!で乗客はホームに飛び出し、釜めしを買い求めるのです。このスリルがたまらない。窓の外を見ると、大勢の乗客が小走りで釜めしを買い求めている。車内を見回すと、買おうか買わないか迷っている4人連れの家族客がいる。子供たちが「お父さん、買おうよ」とねだっている。「帰りに買えばいいだろう」とお父さんは周りを気にしながら囁いている。お母さんは黙っている。発車時刻が迫ってくる。「え〜い 買ってこよう、まだ時間はある!」悩みに悩みぬいたお父さんは列車を飛び出す。発車ベルが鳴る。列車のドアが閉まる。
 お父さん、乗り遅れそうになったが、滑り込みセーフ。お父さんの腕の中には4人分の釜めしとお茶がしっかりと抱えられていました。
当時、誰もがそうしている。そうでなければ旅が始まらない。日本の列車の旅の風景です。
 圧巻は電車の発車時です。電車が動きだす。それまで忙しく対応していた売り子さん達は、プラットホームに一斉に全員整列し直立不動。全員帽子をとり、動き出した列車に向かって何度も深々と礼をする。真ん中には社長さん風の人物が深く頭を下げている。
 彼らの前を列車はすべるように横川駅を出ていく。過ぎた列車の窓から外を覗くと、遠くでまだ礼をしている。
 「う〜ん、気持ちが良い」。
 「ひょっとしたら天皇陛下ってこんな気分なのかな?」
 横川駅のドタバタ劇が、峠の茶屋の旅の風景を印象づける。
 「また横川(峠)駅にきたら釜めしを買おう」。そう思った乗客もいたことでしょう。

2 あたたかくて、家庭的なお弁当ありませんか?
 今から約55年前、荻野屋の会長である故・高見澤みねじ氏は、自らホームに立ち、旅行者ひとりひとりの駅弁への意見や想いを聞いて回りました。そこで、彼女はひとつの答えにたどりついたのです。
 「あたたかくて、家庭的な楽しいお弁当が求められている」
 旅のお客様と向き合う真摯な姿勢が新たな駅弁開発のきっかけとなり、1958年、益子焼の土釜に入った駅弁「峠の釜めし」が誕生しました。
 おいしいは、ひとのまごころです。
 創業129年、峠の釜めしを始めて55年、荻野屋は変わらぬ美味しさを届けています。
 荻野屋が目指しているのは、駅弁を通して、お客様に旅の深い味わいのひとときを届けることです。釜めしの蓋を開けたときのいっぱいに詰まった山の幸の感動と期待以上の味。そして上述した旅の思い出の「深く頭をさげる」という「おもてなし」による最高の旅の思い出づくりです。
 1950年代当時、あたたかいまま食べられる「峠の釜めし」は、常識をくつがえす画期的な駅弁で話題になりました。雑誌「文藝春秋」に掲載されると、爆発的に売れるようになりました。 
 1962年、自動車旅行の増加にあわせて「峠の釜めし・ドライブイン(現荻野屋横川店)」を開設。ここでも、店にバスが到着・出発する際「深々とお辞儀をする目迎・目送」が行われ、店内で旅の疲れを癒すやすらぎと味わい深い思い出を提供しています。
 ひとつひとつ丁寧に作る、手づくりのあたたかさ。それは、たとえ一期一会の旅人でも感謝の気持ちを忘れないおもてなしの証です。
 荻野屋は旅行客の旅の思い出づくりを通じて、地域の発展や環境問題に貢献しています。
 2014年6月に群馬県富岡市にある富岡製糸場と絹産業遺産群が世界文化遺産へ登録されました。荻野屋では、2013年11月から峠の釜めしに使用しているレッテル(掛け紙)を、富岡製糸場と絹産業遺産群の世界文化遺産登録応援レッテルに変更し、少しでも多くのお客様にその施設を知っていただき、より群馬へ行ってみたいと思っていただけるよう取り組みをしています。世界文化遺産登録後はレッテルを世界文化遺産登録「祝バージョン」に変更しました。
 「釜飯の器が重い」「持ち帰ったときの処分に困る」といったお客様の声が上がっていました。そこで峠の釜めしに使用している器をさとうきびの搾りかすを使用したパルプモールド容器に変更する対策も行っています。この容器の軽量化はもちろん、地球環境に配慮してゴミの軽減化にもつながっています。

3 良い素材を求めて馳走する
 女性ならではの細やかな思いやりから生まれた峠の釜めしは、55年前からずっと、手作りのぬくもりを大切につくり続けられています。
 お米を昆布だしで炊いたご飯の上には、鶏肉、筍、ごぼう、栗の甘露煮、杏の甘煮、うずらの卵、生姜の酢漬け、グリンピースなど、山の幸が目も鮮やかに盛り付けられています。
 ごぼうは人の手で丁寧にささがきされ、柔らかな食感を求めて新鮮な若鶏を仕入れます。大量生産でありながら、家庭で愛情を込めてつくるお弁当と同じようにひとつひとつを真剣勝負しています。小さな企業だからできる技です。
 仕入れの担当者は、日々の素材の品質を厳しく見極め、調理担当者は同じ味、同じ食感をキープする職人の技を磨きます。また、見栄えよく具材を並べる盛り付けの担当者、素早く温かいままお客様へお届けする配送担当者など、全員のチームワークとものづくりに対する意識の高さが、おいしさを支えています。
 食品偽装や異物混入事件により、食の安全に対してお客様からより厳しい目が向けられる現代社会です。荻野屋は数十年前から、そのことにいち早く対応し、美しく衛生的な環境を継続する「クレンリネス」の考え方をもとに、徹底した衛生管理体制を築いています。

4 日本人の旅の心を形にするおもてなしの心
 峠の釜めしは、次世代に伝えたい日本人の旅の心を形にしたものです。それを、誇りを持ってつくり続け、その良さを伝える象徴が「土釜の器」です。
 お客様に隠れたところでも旅のおもてなしの形を作っています。
 峠の釜めしを常に温かい状態で召し上がっていただくため、荻野屋では峠の釜めしが入った木箱に常に布(社内では掛け布と呼んでいます)を掛けます。この布を掛けることによって、少しでも温かい状態でお客様にお渡しすることが可能となります。これは峠の釜めしを開発した際の「あたたかさ」が一番大切だからです。また、峠の釜めしを販売する袋にも工夫があります。峠の釜めし専用の袋には、穴が開いています。この穴は通気性をよくし、峠の釜めしが蒸れないようになっています。

5 新たな挑戦
 峠の釜めしは、今後更に伸びてゆく可能性を持っています。そのためには、素材の吟味や品質管理にこれまで以上に力を注いでいかなければなりません。
 特に、もっともっと多くの方に召し上がっていただきたいサービスの展開を考えなければなりません。そのチャレンジのひとつが、平成16年のロサンゼルスの駅弁大会への参加です。初の海外販売の成功は、従業員にとっても刺激的な経験だったようです。
 峠の釜めしは日本全国の人に愛され、海外のお客様にも喜ばれるほどの品質とおいしさがあります。また、峠の釜めしは「日本の旅の食文化」です。この素晴らしい旅の食文化を、日本の若い世代にしっかりと伝えていきたいと荻野屋は考えています。
 新たな挑戦として峠の釜めしに四季折々の食材を盛り込んだ「季節の釜めし」の展開を行っています。この取り組みは2013年よりスタートして、今年で2年目です。また、プレミアム釜めしとして、国産の松茸を使用した松茸釜めしのほか、2014年2月には初のご当地釜めしを熊本にある百貨店で現地製造・販売しました。このご当地釜めしは、熊本の食材をふんだんに使用した内容になっています。

(本稿は株式会社荻野屋への取材といただいた資料にもとづき編集・制作したものです)

(C) 2014 一般社団法人Nippon Diner 協会